日本で20歳以上になると、「年金」という言葉をよく聞くようになります。
しかし、在留外国人の方からは、
「年金は本当に払わないといけないの?」「日本に長く住むか分からないのに、払う意味がある?」
という不安や疑問の声も多くあります。
このページでは、
日本の年金制度の全体像を、在留外国人向けにやさしい日本語で整理します。
細かい計算や制度の例外ではなく、
まずは国民年金と厚生年金の違いをざっくり理解することを目的としています。
1. 日本の年金制度をシンプルにイメージする
日本の年金制度は、少し複雑に見えますが、
まずは次のポイントをおさえておくと、全体がイメージしやすくなります。
- 基本的に20歳以上の人は何らかの年金制度に入る
- 大きく分けると、国民年金と厚生年金がある
- 会社でフルタイムで働く人は、多くの場合厚生年金に加入する
- 自営業・フリーランス・一部の学生などは、国民年金に加入する
年金は、
「老後のためのお金」というイメージが強いですが、
実際には「万が一のときに生活を支える保険」の役割も持っています。
2. 国民年金(こくみんねんきん)の基礎
2-1. 国民年金とは
国民年金は、
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人が、
基本的に加入することになっている年金制度です。
主な対象は、
- 自営業・フリーランスの人
- 学生(条件によっては猶予制度などもあり)
- パート・アルバイトなどで厚生年金に入っていない人
などです。
2-2. 保険料のイメージ
国民年金の保険料は、
原則として「全国でほぼ同じ額」で決められています(毎年見直されることがあります)。
収入によって変わるわけではなく、「一定の定額」を払うイメージです。
経済的に厳しい場合には、
「免除」や「猶予」の制度があることもあり、
条件を満たせば、保険料を全額または一部免除してもらえることもあります。
詳しい条件は自治体や年金事務所で確認する必要があります。
2-3. 国民年金で受けられる主な保障
国民年金に入って保険料を納めることで、
次のような年金を受ける権利につながる可能性があります。
- 老齢基礎年金(老後の生活を支える年金)
- 障害基礎年金(病気やケガで一定の障害が残った場合の年金)
- 遺族基礎年金(家族が亡くなったとき、遺族に支払われる年金)
つまり、国民年金は老後だけでなく、万が一のときにも生活を支える保険の役割があります。
3. 厚生年金(こうせいねんきん)の基礎
3-1. 厚生年金とは
厚生年金は、
主に会社員や一部のパート・アルバイトなど、
会社に雇われて働く人が加入する年金制度です。
多くの場合、
会社でフルタイム、または一定時間以上働いていると、
厚生年金に加入することになります。
3-2. 保険料の支払い方
厚生年金の保険料は、
- 収入(給料)に応じて金額が変わる
- 会社と本人が半分ずつ負担する
という特徴があります。
実際には、
給料から健康保険や他の保険料と一緒に差し引かれ、
会社がまとめて納めています。
3-3. 国民年金との関係
厚生年金に加入している人は、
厳密には国民年金の上に厚生年金が重なっているイメージです。
将来年金を受け取るときには、
- 国民年金の部分(老齢基礎年金)
- 厚生年金の部分
の両方が関係することが多くなります。
4. 在留外国人にとってのポイント
4-1. 「日本にどのくらい住むか」で考えが変わる
在留外国人の方からよくある声として、
- 日本にずっと住むかどうか分からない
- 数年だけ働いて、母国や別の国に移るかもしれない
というものがあります。
年金は、
将来の受給(年金をもらう)だけでなく、
一定の条件のもとで脱退一時金という形でお金を受け取れる可能性もあります。
ただし、条件や手続きは細かく決められているため、
実際に利用できるかどうかは、公的な案内や専門窓口で確認する必要があります。
4-2. 「払わないでいい」という意味ではない
在留期間が短いからといって、
自分の判断で「年金を払わない」ことはできません。
日本に住み、一定の条件を満たしている場合は、
日本の年金制度の対象となります。
もし保険料の支払いが難しい場合は、
免除や猶予などの制度が使えないかどうかを確認することが大切です。
4-3. 将来のために「記録」を残しておく
将来、
日本で年金を受け取ることを考える場合も、
帰国してから脱退一時金などを考える場合も、
次のような情報を整理しておくと便利です。
- 基礎年金番号が分かる書類
- いつからいつまで日本に住んでいたか
- どの会社で働いていたか(在職期間)
年金記録は長期間にわたるため、
書類や番号はなくさないように保管しておくことをおすすめします。
5. 年金に関する書類と確認のしかた
5-1. よくある年金関連の書類
年金に関する書類には、次のようなものがあります。
- 年金手帳や基礎年金番号が分かる通知
- 会社からの加入に関する案内
- 年金保険料に関するお知らせ
これらの書類は、
将来の手続きや確認に必要になることがあるため、
1か所にまとめて大切に保管しておきましょう。
5-2. 分からないときはどこに相談するか
年金制度は、日本人にとっても分かりにくいものです。
在留外国人の場合は、言葉の壁もあるため、なおさら難しく感じるかもしれません。
分からないときは、
- 勤めている会社の担当者(人事・総務など)
- お住まいの自治体(市区町村)の窓口
- 年金事務所などの公式窓口
などに相談して確認することが大切です。
地域によっては、多言語対応の相談窓口が用意されていることもあります。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 日本に長く住む予定はありません。それでも年金を払う必要がありますか?
在留期間や在留資格、年齢などの条件によって、
年金制度の対象になるかどうかが決まります。
「日本に長く住まないから払わなくてよい」というわけではありません。
どの制度に加入するのか、保険料が必要かどうかは、
自治体や年金事務所などの公式情報にもとづいて確認することが重要です。
Q2. 自分が国民年金か厚生年金のどちらに入っているか分かりません。
給料明細や、年金に関する書類に、「厚生年金」や「国民年金」の記載があるかを確認してみてください。
分からない場合は、会社の担当者や自治体、年金事務所に相談することで、自分の加入状況を確認できることがあります。
Q3. 年金を払うお金が厳しいです。どうしたらいいですか?
経済的に厳しい場合、国民年金には「免除」や「猶予」といった制度があります。
条件を満たせば、保険料を全額・一部免除してもらえたり、支払いを先送りにできる場合もあります。
自分で判断せず、お住まいの自治体の窓口などで相談することをおすすめします。
Q4. 日本を離れるとき、年金はどうなりますか?
日本を離れる場合、条件によっては、
それまで納めた年金保険料の一部を「脱退一時金」という形で受け取れる制度があります。
ただし、対象となる期間や手続きには細かな条件があるため、
実際の手続きを考えるときは、必ず公式な案内や専門窓口で詳細を確認してください。
7. まとめ:年金は「老後のため」+「万が一のため」の制度
- 日本の年金制度は、国民年金と厚生年金が基本で、20歳以上の人は何らかの形で関わることになります。
- 国民年金は、自営業や学生などが加入する基礎的な年金で、保険料は原則として全国で共通の定額です。
- 厚生年金は、会社員などが加入する年金で、給料に応じて保険料が決まり、会社と本人が半分ずつ負担します。
- 年金は、老後の生活だけでなく、病気やケガ、家族の死亡など「万が一のとき」に生活を支える保険の役割も持っています。
- 在留期間や将来の予定がはっきりしない場合でも、自分の加入状況や選択肢を知るために、公式窓口での確認や相談が大切です。
このページを出発点として、
まずは「自分はいま、どの年金に入っているのか」「どんな書類を持っているのか」を確認してみてください。
分からないことがあれば、一人で悩まず、会社・自治体・年金事務所などに相談しながら、少しずつ理解を深めていきましょう。


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