日本は、地震・台風・豪雨などの自然災害が多い国です。
災害が起きたとき、日本でどのように医療や健康を守ればいいか、
不安に感じる在留外国人の方も多いと思います。
このページでは、
災害が起きたときの医療・健康の基本について、
在留外国人向けにやさしい日本語で整理します。
日頃の準備、災害直後の行動、避難所での健康管理、心のケアなど、
「いざ」というときに思い出せる内容を目指しています。
1. 災害時の医療・健康リスクのイメージ
大きな災害が起きると、
次のような医療・健康上のリスクが生まれやすくなります。
- けが(転倒、落下物、ガラスによる切り傷など)
- 持病の薬が手に入らない・飲めなくなる
- 水やトイレ環境が悪くなり、感染症や食中毒のリスクが上がる
- ストレスや不安による心身の不調(不眠・頭痛・気分の落ち込みなど)
すべてに完璧に備えることはできませんが、
「事前にできる準備」と「起きてからの基本行動」を知っておくことで、
守れるものが増えていきます。
2. 日頃から準備しておきたい「健康関連アイテム」
災害はいつ起きるか分かりません。
次のようなものを、少しずつでよいので準備しておくと安心です。
2-1. 薬・医療関連
- ふだん飲んでいる薬(可能であれば数日〜1〜2週間分)
- お薬手帳、または薬の名前が分かるメモ
- 市販の痛み止め・解熱剤など(自分に合うもの)
- 絆創膏・消毒液・ガーゼなど簡単な救急セット
2-2. 身分証・情報
- 健康保険証のコピー
- 在留カードのコピー
- 緊急連絡先(家族・友人・職場・学校など)のメモ
- 持病・アレルギー・服薬状況をまとめたメモ(日本語と母語/英語)
これらは、
自宅の分+持ち出し用の袋に分けて用意しておくと、
避難するときにも持ち出しやすくなります。
3. 災害が起きた直後の行動:安全の確保とけがの確認
大きな揺れや、急な水害・火災などが起きたときは、
まず自分と周りの人の命を守る行動が最優先です。
3-1. 身の安全を守る
- 倒れてくるもの・割れたガラスから離れる
- 机の下に入る・クッションで頭を守る など
- 火を使っている場合は可能であれば火を消す(自分が危険でない範囲で)
3-2. けがをしていないか確認する
揺れや混乱が落ち着いてから、
自分や周りの人にけががないか確認します。
- 出血・痛み・動かしにくい部分がないか
- 頭を打っていないか
- 誰かが動けなくなっていないか
明らかに重いけが・危険な状態がある場合は、
周囲の安全を確保したうえで119番を検討します(通話がつながる場合)。
4. 災害時の医療・相談先を探すときの考え方
大きな災害のあとには、
通常どおりに開いている病院が少ないこともあります。
そのため、次のようなルートで情報を集めることが大切です。
4-1. 自治体・避難所での案内を確認する
- 市区町村の防災無線・広報・ウェブサイト
- 避難所内の掲示板・アナウンス
- 避難所の受付・スタッフ(自治体職員・ボランティアなど)
ここで、次のようなことを確認できます。
- 臨時の医療・救護所がどこにあるか
- どの病院が診療を行っているか
- 持病の薬が切れそうな場合の相談先
4-2. 医療・救護スタッフへの相談
大規模な災害では、
避難所や特定の場所に救護所・臨時診療所が設置されることがあります。
医師や看護師、保健師などが常駐または巡回する場合もあるため、
体調不良や不安があるときは、早めに相談しておきましょう。
5. 持病がある人・妊娠中の人・障害がある人のポイント
持病や特別なケアが必要な方は、
災害時に特に困りやすい立場です。
日頃から次のような準備と意識を持っておくと安心です。
5-1. 持病がある場合
- 「病名」「飲んでいる薬の名前」「飲む回数・量」をメモしておく
- 可能なら、予備の薬を少しだけ多めに用意しておく
- 避難所や救護所で、なるべく早く持病があることを伝える
5-2. 妊娠中の場合
- 母子健康手帳(Mother and Child Health Handbook)があれば必ず持ち出す
- 妊娠週数やこれまでの経過を、メモや手帳で分かるようにしておく
- お腹の張り・出血・強い痛みなどがあれば、早めに医療スタッフに相談する
5-3. 障害がある場合
- 必要な配慮(移動・コミュニケーションなど)を簡単な言葉で説明できるようにしておく
- 補助具や必要な機器のバッテリー・充電方法などを事前に確認しておく
こうした情報は、
日本語だけでなく母語や英語でもメモしておき、
必要に応じて翻訳アプリを使って医療スタッフに見せることもできます。
6. 避難生活での衛生管理と感染症予防
避難所や人が多く集まる場所では、
衛生状況が悪くなりやすく、感染症のリスクが高まります。
6-1. 手洗い・消毒
- 水が使える場合は、こまめな手洗いを心がける
- 水が不足している場合は、アルコール消毒液を活用する
- トイレのあと、食事の前は特に意識して手をきれいにする
6-2. 飲み水と食べ物
- 配給された飲み水や食料は、指示に従って保存・摂取する
- 傷んでいる可能性のある食べ物は無理に食べない
- 体調を崩しているときは、スタッフに相談して食事内容を調整してもらうことも検討する
6-3. 暑さ・寒さへの対策
- 夏場は熱中症(脱水・高体温)に注意する
- 冬場は体を冷やしすぎないよう、毛布や衣服で工夫する
- 体調に不安がある場合は、早めに救護スタッフに相談する
7. 災害時の心のケア:不安やストレスとの付き合い方
災害は、体だけでなく心にも大きなストレスを与えます。
次のような状態は、多くの人に起こりうるものです。
- 眠れない・眠りが浅い
- 何度も災害のことを思い出してしまう
- イライラしやすくなる
- 気分が落ち込む・涙が出やすくなる
これらは、
異常な出来事に対する心の自然な反応である場合も多いです。
できる範囲で、次のようなことを意識してみてください。
- 安心できる人と気持ちを共有する(友人・家族・避難所の仲間など)
- ニュースやSNSの情報を見すぎないようにする
- 短い時間でも、体を動かす・外の空気を吸う
それでも、
- 強い不安やつらさが長く続く
- 眠れない状態が何日も改善しない
- 生活がほとんど成り立たないほど気持ちが沈んでしまう
などの場合には、
避難所や地域のメンタルヘルス相談窓口、医療機関などに相談することも大切です。
8. よくある質問(Q&A)
Q1. 災害時、通っていた病院が開いているか分からないときはどうすればいいですか。
大きな災害のあとには、病院の状況が変わっていることがあります。
自治体の案内や避難所の掲示・アナウンスで、
「どの病院が診療可能か」「どこに臨時の診療所があるか」などが案内されることが多いです。
まずは自治体や避難所スタッフに確認してみてください。
Q2. 持病の薬が足りなくなりそうです。どうしたらいいですか。
持病の薬が足りなくなる前に、できるだけ早く相談することが大切です。
避難所の医療スタッフや、自治体の窓口に「この薬が○日分しかありません」と伝え、
対応できる医療機関や調剤薬局を紹介してもらうようにしましょう。
お薬手帳や薬の名前が分かるものがあると、よりスムーズです。
Q3. 日本語でうまく説明できない場合、診察や相談を受けても大丈夫でしょうか。
はい、大丈夫です。
母語や英語で書いたメモを翻訳アプリで日本語にしておき、
「病名」「薬の名前」「症状」「いつから」などを紙やスマートフォンで見せると、
医療スタッフは状況を理解しやすくなります。
可能であれば、日本語が話せる知人に電話やメッセージでサポートをお願いするのも一つの方法です。
Q4. 避難所での生活が長引き、心身ともにとても疲れてしまいました。
長期の避難生活は、誰にとっても大きな負担になります。
体の不調だけでなく、心の不調も「相談してよいこと」です。
避難所のスタッフや医療・相談窓口に、「体も心も疲れています」とそのまま伝えてかまいません。
できるだけ一人で抱え込まないことが大切です。
9. まとめ:災害時に「ゼロから考えなくてよい」ように準備する
- 日本では、地震や台風などの災害が起きる可能性があり、医療・健康にも影響が出ることがあります。
- 日頃から、薬・お薬手帳・保険証コピー・在留カードコピー・緊急連絡先・持病やアレルギーのメモなどを準備しておくと、いざというときに役立ちます。
- 災害直後は、まず身の安全を守り、次にけがや体調の確認を行い、自治体や避難所の情報をチェックしましょう。
- 避難生活では、手洗い・飲み水・食事・暑さ寒さなどの基本的な衛生管理が重要です。
- 体だけでなく心の不調も、相談や医療の対象です。一人で抱え込まず、「誰かに伝える」ことを意識してみてください。
このページを読み終えたら、
ぜひ一度、自分の薬や健康情報、連絡先などをまとめた「災害用メモ」を作ってみてください。
その準備が、もしものときにあなた自身と周りの人を守る助けになります。


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